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第1章 3 住みよい地域(ちいき)の環境(かんきょう)をつくる-3

印刷ページの表示 ページ番号:0000247386 更新日:2012年3月9日更新

3.農林水産業(のうりんすいさんぎょう)と農山漁村(のうさんぎょそん)のもつはたらき

「主な森林・林業のはたらき」

「森林は洪水(こうずい)や渇水(かっすい)を緩和(かんわ)します」
 森林は「緑のダム」といわれています。
 森林の土はスポンジのように、雨水を地中にしみこませて、たくわえるはたらきがあります。その量(りょう)は、木を植えていないところより3倍も多いという報告(ほうこく)があります。このはたらきによって雨水はゆっくりと河川に流れていき、急に大水が出たり、川の水が極端(きょくたん)に減(へ)ったりすることを防(ふせ)いでいます。
 緑のダム図


「森林は流出する土砂(どしゃ)量(りょう)を抑制(よくせい)します」
 森林の表面は、落葉や草などによっておおわれているため、雨水などによって土砂が流されるのを防(ふせ)いでいます。
 山に木を植えると、山から土砂(どしゃ)が流れ出る量(りょう)は1/150(ひゃくごじゅうぶんのいち)に減(へ)るという報告(ほうこく)があります。
緑のダム図2

「森林はおいしい水を私たちに与(あた)えてくれます」
 雨水は、森林の土の中を通ってきれいにしてもらったり、岩石の間を通るときにミネラルという成分(せいぶん)をもらったりして出てきます。
 森林を通って出てきた水は、みんなの家庭で利用(りよう)されるほか、農業用水、工業用水、発電用水としても利用(りよう)され、さらに漁業(ぎょぎょう)にとっても大切なものとなっています。
森林の水道図


「森林は地球温暖化(おんだんか)防止(ぼうし)への貢献(こうけん)が期待されています」
 地球温暖化(おんだんか)の主な原因(げんいん)である二酸化炭素(にさんかたんそ)を森林は吸収(きゅうしゅう)してたくわえています。
二酸化炭素吸収の森林

「森林は人を快適(かいてき)な気持ちにさせてくれます」
 森林には美しい景色(けしき)をはじめ、川のせせらぎや小鳥のさえずりなどの音、すがすがしい香(かお)り、木の実やきのこなどの食べ物など、人の五感を通じて快適(かいてき)に感じさせてくれるはたらきがあります。そのため、森林はレクリエーション活動や学習の場として利用(りよう)されています。
 また、いろんな種類(しゅるい)の生き物のすむ場として重要(じゅうよう)な役割(やくわり)を果(はた)たしています。
 みなさんも森林に足を運んでみましょう。
憩いの森林


(1)農林水産業(のうりんすいさんぎょう)が持っているさまざまなはたらき

 農林水産業(のうりんすいさんぎょう)は、わたしたちの生活に欠(か)かせない「食料(しょくりょう)」や「木材(もくざい)」を作るというはたらきのほかにも、いろいろなはたらきがあります。
 田んぼは、水をたくわえて洪水(こうずい)を防(ふせ)いだり、森林は水をたくわえたり、雨で山がくずれるのを防(ふせ)いだり、海のかいそうは、水をきれいにしたりします。
 このほかにも、いろいろな生き物の住む場所となったり、美しい農山漁村(のうさんぎょそん)の景色(けしき)を作ったりします。
 こうしたいろいろな「はたらき」は、農林水産業(のうりんすいさんぎょう)の「多面的(ためんてき)機能(きのう)」と呼(よ)ばれ、大きな役割(やくわり)を果(は)たしていますが、農林水産業(のうりんすいさんぎょう)の活動が行われていないとこのはたらきが悪くなります。
 農山漁村(のうさんぎょそん)の人だけでなく、都会の人にとっても、安心して生活していくためには、農林水産業(のうりんすいさんぎょう)の活動がしっかりと行われていくことが大切です。
多面的機能の写真

(2)はたらきをお金にかえると

 大分県の農林水産業(のうりんすいさんぎょう)と農山漁村(のうさんぎょそん)の1年間の「はたらき」をお金にかえると、農業(農村)では1,500億(おく)円、林業(森林)では1兆(ちょう)258億(おく)円、水産業(すいさんぎょう:漁村(ぎょそん))では792億(おく)円、全部あわせると1兆(ちょう)2,550億(おく)円になります。
 これは、大分県の平成27年度の予算(よさん)の約2倍です。
 ちなみに、全国では1年間に約(やく)89兆(ちょう)4,439億(おく)円にもなります。

土地利用

新緑の鳴子川の写真
新緑の鳴子川(なるこがわ)(九重町)
森を出発した「水」は、川や田んぼ、畑をとおりやがて海にたどりつきます。海と川、田んぼ、畑は、水のネットワークでつながっています。


【 参 考 】 
 ○ 農業・農村の多面的(ためんてき)機能(きのう)に関(かん)する農林水産省(のうりんすいさんしょう)のホームページは〔こちら〕
 ○ 森林の有する多面的(ためんてき)機能(きのう)に関(かん)する林野庁(りんやちょう)のホームページは〔こちら〕
 ○ 水産業(すいさんぎょう)・漁村(きょそん)の多面的(ためんてき)機能(きのう)に関(かん)する水産庁(すいさんちょう)のホームページは〔こちら〕

(3)農業と農村のはたらき

農業と自然(しぜん)とのかかわり
 
農作物は、太陽エネルギーや水、空気を使って大きくなり、生き物に必要(ひつよう)な酸素(さんそ)もいっしょに作り出しています。そして、農作物は、私たちの食料(しょくりょう)や家畜(かちく)のえさになります。その後、食べ残(のこ)しや家畜(かちく)のふんにょうは、堆肥(たいひ)という肥料(ひりょう)となってもう一度農業の生産(せいさん)に使われます。このように農業と自然(しぜん)環境(かんきょう)は強いつながりがあります。
農業と自然とのかかわり

農業と農村の主なはたらき 農業・農村は、私たちが生きていくのに必要(ひつよう)なお米や野菜(やさい)などの生産(せいさん)の役割(やくわり)を果(は)たしています。しかし、それだけではありません。田んぼや畑、農村のまわりの自然(しぜん)は、私たちの生活に大切な役割(やくわり)を持っています。
 このことは、「農業の多面的(ためんてき)機能(きのう)」と呼(よ)ばれています。農業・農村が持っている主な役割(やくわり)について考えてみましょう。

「国土を守るはたらき」
 田は、あぜにより雨水を一時的(いちじてき)に貯(たくわ)えることができます。このため、雨水が急激(きゅうげき)に流れ出ることを防(ふせ)いだり、河川の下流での洪水(こうずい)や周辺(しゅうへん)での浸水(しんすい)を防(ふせ)いだり、少なくするというはたらきがあります。
 また、畑にも、雨水を一時的(いちじてき)に貯(たくわ)えることで、洪水(こうずい)を防(ふせ)ぐはたらきがあります。そのほかにも、地すべり、土砂(どしゃ)くずれなどが起きないようにするはたらきもあります。
 このように、農業は国土を守るために大きな役割(やくわり)をはたしています。

「水田や畑はおいしい水を私たちにあたえてくれます」
 水田に貯(たくわ)えられた水は少しづつしみこんで地下水となるほか、直接(ちょくせつ)、河川を流れるよりも長い時間をかけて下流にもどされ、川の流れの安定に役立ちます。
 このように、水田には、私たちが生活するのに必要な水源(すいげん)である地下水を豊(ゆた)かにする機能(きのう)や川の流れを安定させる機能(きのう)があります。
 また、収穫(しゅうかく)後の水田や畑からも雨水の地下にしみこんでいくことによって、地下水を増(ふ)やすことに役立っています。

「安らぎをあえるはたらきと良好(りょうこう)な景観(けいかん)をつくるはたらき」
 まっすぐなあぜ道や、曲がったあぜ道、大きい田んぼ、小さい田んぼ、四季(しき)による色の変化(へんか)もとてもきれいなものです。
 農村で農業を行うことによって良好(りょうこう)なけしきが作られています。きれいな水、すんだ空気、美しい緑、都市では見られない景色(けしき)や自然(しぜん)、環境(かんきょう)、そしてうるおいや安らぎを求めて、農村に多くの人々が訪(おとず)れています。
 こうした景色(けしき)やながめは長い時間をかけて、人が農業を通じて自然(しぜん)と対話するなかで作られてきたものです。都市に住む人が農家民宿(みんしゅく)にとまって農業を体験(たいけん)したり、農村の文化・自然(しぜん)にふれたりと、農村での人と人とのふれあいや交流がいま人気になっています。

(4)森林と林業のはたらき

 森林は、木材(もくざい)などの生産(せいさん)のほかに、川の水が減(へ)ったり、大水が出るのを防(ふせ)いだりしながら、おいしい水をつくる役割(やくわり)があります。そのほかにも、二酸化炭素(にさんかたんそ)を吸(す)って地球温暖化(おんだんか)を防(ふせ)ぐ、うるさい音を低(ひく)くするといった役割(やくわり)があります。さらに、みんながレクリエーションや学習をする場所、そして生き物たちの住む場所になっています。
 これから、森林と林業の持っているはたらきについて考えてみましょう。
森林のはたらき


「木材(もくざい)利用(りよう)による二酸化炭素(にさんかたんそ)の固定(こてい)への期待」 環境(かんきょう)を守りながら生活していくことが大事です。
 そのために、木材(もくざい)をうまく利用(りよう)しながら生活してみましょう。
 木材(もくざい)は、「きったら植える」ということをくりかえせば、半永久的(はんえいきゅうてき)に利用(りよう)できる資源(しげん)です。スギなどの木を伐採(ばっさい)して、木材(もくざい)として使いながら環境(かんきょう)を守っていくことが大切なことです。
 木でできた住宅(じゅうたく)や家具などをできるだけ使うようにすれば、それが森を守ることにつながります。

大分方式乾燥材を使った住宅

大分方式乾燥材(かんそうざい)を使った住宅(じゅうたく)

  大分方式乾燥材(かんそうざい)とは [PDFファイル/410KB]

 

(5)水産業(すいさんぎょう)と漁村(ぎょそん)のはたらき

「藻場(もば)と干潟(ひがた)のはたらき 

 藻場(もば)は、海藻(かいそう:海草)が、たくさん生えている場所であり、干潟(ひがた)は、遠浅(とおあさ)の海で潮(しお)がみちればかくれ、ひけば現(あらわ)れるような砂(すな)や泥(どろ)の場所です。
 これらの藻場(もば)・干潟(ひがた)は、有機物(ゆうきぶつ)の分解(ぶんかい)、ちっそ、りんなどの取りこみにより、水をきれいにするはたらきを持っており、魚や貝などの産卵(さんらん)や生育の場ともなっているため、守っていくことが大切です。 
もばとひがたの環境浄化の役割

干潟藻場

干潟(ひがた)

藻場(もば)

「海や川を大事に使おう」

 水産(すいさん)生物は、海や川で生まれ、育ち、やがて子どもを残(のこ)して死んでいきます。この間に、えさの量(りょう)や水温などの自然(しぜん)の影響(えいきょう)で、数が増(ふ)えたり減(へ)ったりします。
 でも、自然(しぜん)の影響(えいきょう)だけではありません。人間がとりすぎたり、海や川を汚(よご)したりして、育つ環境(かんきょう)が悪くなると減(へ)ってしまいます。
 水産業(すいさんぎょう)は、海や川で魚や貝などをとって、皆さんに食物を供給(きょうきゅう)する産業(さんぎょう)です。漁業者(ぎょぎょうしゃ)は、魚などをとりすぎないようにきまりを作ったり、漁場(ぎょじょう)を守ったり、稚魚(ちぎょ)を放流(ほうりゅう)するなどして、資源(しげん)を守っています。
水産生物と人や自然の関係図

  真玉の夕日写真

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