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知事からのメッセージ 風紋 シリコンバレーで感じたこと

印刷ページの表示 ページ番号:0002078238 更新日:2019年11月13日更新

シリコンバレーで感じたこと

大分県知事 広瀬勝貞

 先端技術の活躍から目が離せません。例えば農業、ドローンによる作況調査から人工知能付ロボットによる熟度測定しながらの収穫作業など、活動分野は様々です。例えば商工業、さすがに激しい競争分野だけあって、随所に先端技術が取り入れられています。サプライチェーンを人工知能と自動機械で結んで、大変効率よく製品やサービスの提供を行っています。最新のエアコンなど、製品そのものに人工知能を埋め込んで、自動的に快適な温度と風を送るような行き届いたサービスを提供するものも多くなりました。
 今年の夏、大学や企業の皆さんと米国のシリコンバレーに行ってきました。シリコンバレーはテーマを変えて成長を続けています。かつての半導体、パソコンから、インターネットなどの情報通信技術へと移り、今は人工知能、IoT、ビッグデータで盛り上がっています。日本はこれまで効率性、信頼性を誇るモノづくり、心遣い十分のきめ細かなサービスに強みがありましたが、これからはそのモノづくりやサービスにも、やはり人工知能、IoTなどが必要になってきますから、この分野での立ち遅れは即ち日本の得意分野の立ち遅れになります。相当危機感を持って対応しなければならないと痛感しました。
 なお、今度の出張で世界屈指のシステム企業SAPと大分県とで災害対策の高度化の協力について合意をしました。過去の災害時の気象情報はもちろん、災害時に数多く得られる河川の水位情報、堤防の関連情報などの大量のデータを人工知能に読み込ませて、災害予防や復旧に役立てようというもので、自然災害の多い日本には有効ではないかと思います。
 シリコンバレーでもう一つ感心したのは、この時代を担う人材育成について、活発な取組が行われていたことです。あそこの中核的大学とも言えるスタンフォード大学では、これまでのSTEM教育(科学、技術、工学、数学)に創造性のARTを加えたSTEAM教育が活発に議論されていました。「何を知っているか」ではなく、知識を通じて何ができるか、どう課題解決に役立てるかを創造的に考えさせる教育のようです。今度、彼らに大分県の高校生に対して双方向の遠隔教育をしてもらうことにしました。
 何かを創り出すという意味ではデザインシンキングという発想法も盛んに活用されていました。様々な選択肢を出しあって、いろいろな視点から吟味し、世のため人のためになるものを創り出していく発想法です。こちらもSAPの人材育成プログラムに、大分県から希望者があれば参加できるように合意ができました。
 先端技術については、2018年に大分県の4つの中小企業が人工衛星に挑戦し、やり遂げて、ビジネスのフロンティアを宇宙まで拡げ、この採用難の時代に志を同じくする挑戦者を新しい仲間として迎えいれて、経営に新たな展望を開いた経緯があります。先端技術への挑戦はリスクもあり、困難も多いと思いますが、それだけ新たな可能性や夢が大きく膨らみます。これからも大きな希望をもって挑んでいきたいと思います。

~県政だより新時代おおいたvol.127 2019年11月発行~