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知事からのメッセージ 風紋 -私の教えられたこと-2014

印刷ページの表示 ページ番号:0001001951 更新日:2014年11月26日更新

私の教えられたこと-2014

大分県知事 広瀬勝貞

 毎年11月1日の「おおいた教育の日」に因んで募集されるエッセイを読ませてもらっていますが、子どもたちが大小様々な契機や体験から大切なことを学び成長していく様子にはつくづく感心させられます。翻って、いわゆる大人になると、感受性が鈍ってくるのか、心の鏡が曇ってくるのか、心打たれ、教えられ、少し賢くなったと思うことが少なくなります。残念ながら私もその類いなので、これではいけないと年の瀬になると、「今年教えられたこと」を思い起こし、反すうすることにしています。

 今年、二豊学園野球部の53年ぶりの全国優勝がありました。様々な課題を抱え、入所してきた子どもたちに、何か前向きに取り組んでもらおうと野球部がつくられたのですが、キャッチボールをしたことがない子もいて初めは果たしてチームになるものか心配だったそうです。しかし、子どもたちの方にも何か打ち込むものが欲しい、共に目指す目標が欲しいという思いがあって、徐々にチームの体をなしていったようです。そして「あまえず、あせらず、あきらめず」を合い言葉に、とうとうまさかの全国優勝を勝ち取ったというのです。子どもの可能性を引っ張り出した学園も立派だし、根性を入れて結果を出した子どもたちもすごいと思います。子どもの能力について大人が勝手に枠をはめてはいけないということも教えられますね。

 スポーツの次は芸術、今年は国東半島芸術祭がありました。農業倉庫にコンピュータで心癒やされる花園を創ったり、巨大な一枚岩の方々にデジタルカウンターをつけて、自然と人間の対話が弾むような空間を創ったり、アートの懐深い味わいを楽しませてもらいました。それにしても神仏習合の里に現代アートは受け入れられるのか、悩ましいテーマでした。ところが、アーティストが地元の人に、粘り強く、率直に説明を行い、地元も遠慮せずに疑問をぶつけ、結果、かえって作品づくりを手伝ってくれ、自分たちで土産を作って売ったり、さらには見物客にお接待までしてくれたということです。互いに思いの丈を述べ合って、それも肩書きにとらわれず謙虚に話し合い、相手を認め合う、それが芸術文化というものかと思い知らされました。

 次は面倒な情報通信技術のことです。米日カウンシルという日米親善団体の招きでアメリカはシリコンバレーに行ってきました。誰もが情報端末を持って、情報を発信し、いつの間にかビッグデータといわれる膨大な情報が氾濫する時代になりました。シリコンバレーでは今、これを活用して新しいシステムをつくり、ビジネスにつなげようというブームに近い動きがあります。私は前の仕事柄、この分野のことには少々自信があったのですが、これまでの常識を打ち壊す動きでした。世の中にはわからないことが多く、まだまだ勉強しなければ、というのも貴重な教えでした。

 それでは皆さん、よいお年をお迎えください。

  

   県政だより新時代おおいたvol.97 2014年11月発行